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SDGs

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2021.06.01

丸中先生コラム①「マイクロプラスチック・ ナノプラスチック」について

Wellcareでは分子・細胞・動物レベルの基礎研究からヒトを対象とした臨床研究を通じて、人体の疾病発症を早期に予測できる因子の発見と疾病予防法開発を目指して研究を推進されている、医学博士 丸中良典先生の水と環境に関するコラムを5回にわたってご紹介してまいります。第1回は「マイクロプラスチック・ナノプラスチック」についてです。

最近話題のマイクロプラスチック

 プラスチックと言えば、レジ袋やペットボトルなどがごみとして捨てられ、
世界の海岸線に浮遊している映像を目にしたことがあると思います。
つまりプラスチックが海洋環境を悪化させていることは間違いありません。
また、最近マイクロプラスチックという言葉をよく聞かれることと思います。
マイクロプラスチックというのは大きさとしてどの程度のものを言うのでしょうか?
現時点ではさまざまな定義がなされていますが、5mm以下という学者もいれば、
1mm以下をマイクロプラスチックと呼ぶ研究者もいます。
さらに0.1マイクロメートル(1マイクロメートル=1メートルの百万分の1の大きさ)未満の
小さなプラスチックはナノプラスチック(1ナノメートル=1メートルの10億分の1の大きさ)と呼ばれています。

飲料水の中にも入っているマイクロプラスチック

 私たちが普段飲んでいる飲料水の中にもマイクロプラスチックが入っていることが、
最近の多くの研究で明らかになってきました。
水道水やペットボトルの水の中にも非常に小さな肉眼では見ることができないマイクロプラスチックが存在しています。
飲料水の中に含まれているのは、ナノプラスチックレベルの非常に小さなプラスチックです。
1リットルの水道水の中に多い場合は10万個のナノプラスチックが、またペットボトルの1リットルの水の中にでも
100個程度のナノプラスチックが入っていると報告されています。

体内にも吸収されるマイクロプラスチック

 マイクロプラスチック、とりわけ非常に小さなサイズのナノプラスチックの一部は腸管から体の中に吸収され、
脳にまで達する可能性があり、種々の障害を引き起こす可能性があるということも報告されています。
さらに、胎盤も通過する可能性が大きいので、胎児の脳を含めたあらゆる臓器にナノプラスチックが到達して、
種々の障害を引き起こす可能性も考えられます。
マイクロプラスチックやナノプラスチックの人体への影響に関しては詳細かつ綿密な研究は始まったばかりであり、
正確な情報はまだまだ数少ないといった状況です。
しかし、たとえこのようなナノプラスチックの危険性が後々明らかになった時にでも慌てることのないよう対応策を
考えておくに越したことはありません。
マイクロプラスチック・ナノプラスチックを含まない飲料水の確保を真剣に考える時期なのかもしれません。

 

医学博士 丸中良典先生
一般財団法人 京都工場保健会代表理事・診療所長・総合医学研究所長
立命館大学総合科学技術研究機構 創薬科学研究センター チェアプロフェッサー
京都府立医科大学 名誉教授