2020.11.19
水のカルキ抜きは必要? カルキ抜きのメリットやその方法をご紹介

水道水をそのまま飲んだときに感じる、カルキの独特な匂い。「なんだかおいしくないし、身体にもよくなさそう……」と気にはなりつつも、そのまま使っているという方は意外に多いのではないでしょうか。実は日本の水道水は、カルキの匂いを取り除くだけで水の匂いや味が改善される場合が多いことがわかっており、カルキを含んだ水は身体に影響を及ぼす可能性があるとも言われています。
では、カルキを含んだ水は私たちにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。また、気になるカルキを抜くにはどのような方法があるのでしょうか。こちらで詳しくご紹介します。
カルキは安全なの?カルキが身体に及ぼす影響とは
水道水のカルキ臭の原因は、塩素です。日本の水道水には、浄水の過程で消毒・殺菌を目的に塩素が投入されています。この塩素を含んだ石灰がカルキであり、正確には次亜塩素酸カルシウムと言います。
「カルキ臭い」という状態は浄水の過程で消毒・殺菌処理がきちんと行われている証拠であり、水道水に含まれるカルキはごく微量なので身体に害を与えることはないとされています。しかし、塩素処理後にも水中に残る残留塩素が「人体にまったく影響を及ぼさない」というわけではありません。
髪の毛や肌への影響
水道水で髪の毛や身体を洗ったときに、「髪がパサついた」「肌が乾燥した」という経験はありませんか? 実は塩素にはタンパク質にダメージを与える作用があり、水道水に含まれるごく微量の塩素が髪の毛や肌に影響を及ぼしている可能性があります。とくに敏感肌やアトピー肌の方は、ちょっとした刺激でニキビや炎症などを起こしやすいこともあり、塩素の刺激にも注意したほうがよいでしょう。
ただし、髪の毛や肌は、使用するシャンプーやスキンケアの成分、紫外線などによってもトラブルを起こすこともあるため、一概に「髪や肌の傷みの原因=カルキ」とは言い切れません。それでも、髪の毛や肌を健やかに保ちたいなら、水道水のカルキを抜いて使用したほうが安心でしょう。
カルキよりも実は怖い「亜硝酸態窒素」とは
近年の研究により、「亜硝酸態窒素」という物質がきわめて低い濃度でも身体に悪影響を及ぼすことがわかりました。亜硝酸態窒素は体内に酸素を供給するのを妨げ、酸素欠乏を引き起こすメトヘモグロビン血症という疾患の原因になると言われています。また、胃ガンをはじめ消化器系のガンの発症リスクを高めることもわかっています。
この亜硝酸態窒素は水道水、地下水、井戸水のほとんどから検出される物質であり、市販のペットボトルからも検出されることがあります。そのため、厚生労働省は平成26年に水質基準項目を変更し、亜硝酸態窒素の基準値を大幅に下げました。亜硝酸態窒素の存在はあまり知られていませんが、塩酸やカルキよりも低濃度で身体に悪影響を及ぼす物質なので、亜硝酸態窒素も除去できる浄水器を導入するなど、対策を講じることをおすすめします。
カルキを抜く方法
カルキを含んだ水が身体に害を与えることはないとわかっていても、やはり匂いが気になるという方は多いのではないでしょうか。こちらでは、カルキを抜く方法をいくつかご紹介します。
沸騰
カルキ抜きのもっとも一般的な方法は「沸騰」です。水道水を沸騰させて塩素を飛ばすことで、カルキの匂いを抜くことができます。ただし注意したいのが、水道水を沸騰させる過程で一時的に発がん物質である「トリハロメタン」が増加してしまうということ。トリハロメタンの増加を抑えるには、約20分ほど継続して沸騰させる必要があります。
レモンなどの柑橘類
レモンなどの柑橘類にはカルキの匂いを消す作用があります。柑橘類に含まれるビタミンCが水道水の塩素と結合し、酸化ビタミンCなどの塩素以外の物質に変わることで、匂いを消すことができるのです。その方法も簡単で、水道水に輪切りのレモンを入れるか、レモン汁を加えるだけ。たった1滴のレモン汁でコップ1杯分の水道水のカルキ抜きができます。
レストランなどでレモンを浸けた飲料水が提供されることがありますが、レモンの風味付けだけでなくカルキ抜きの目的もあるようです。
炭
竹炭や備長炭には消臭作用や浄化作用があります。そのため、水道水に竹炭や備長炭を入れることでカルキを除去することができ、カルキの嫌な匂いを消すことも可能です。また、炭に含まれるミネラル分が水道水に溶け込み、ミネラル分の高い水をつくることもできます。炭は購入したものをそのまま使用するのではなく、水道水に入れる前に丁寧に洗うようにしましょう。
日光
バケツなどに汲み置きした水道水を日光に当てることでも、カルキを抜くことができます。ただし、5時間ほど日光に当てておかなければならず、時間がかかる上に虫やホコリ・チリなどが混入してしまう可能性もあるため、現実的な方法ではありません。飲用ではなく、メダカや金魚などを飼っている水槽の水には有効です。
毎日安全でおいしい水を飲みたい方へ
上記でご紹介したカルキ抜きの方法はいずれも時間がかかったり、材料を用意したりしなければいけないものばかり。一度にカルキ抜きができる水の量も限られているため、毎日使う水のカルキ抜きの方法としても適していないかもしれません。
「もっと手軽にカルキ抜きした水がほしい」「時間をかけずに安全でおいしい水を飲みたい」という方には、ウォーターサーバーや浄水器の導入をおすすめします。
ウォーターサーバー
天然水やろ過した水が入ったボトルが定期的に宅配され、サーバーに取り付けて使う方法です。機種によって異なりますが、多くのウォーターサーバーは温度調節ができ、冷水・温水をすぐに使うことができます。ただし、水ボトル代やサーバーのレンタル代、電気代など、さまざまなコストが毎月かかります。
浄水器
水道水の蛇口や分岐水栓に、浄化機能のあるフィルターが搭載された機器を設置する方法です。水道の蛇口や浄水器のレバーをひねるだけで、ゴミなどの不純物やカルキ臭の原因である塩素などを取り除いた浄水を使うことができます。また、水道水を浄水器に通すことで塩素などの有害物質の影響を受けにくくなるため、髪や肌を健やかな状態に維持しやすくなります。
浄水器は取り付けや設置が簡単で、ウォーターサーバーのように場所もとりません。ただし、導入する際に浄水器本体や設置の費用、数ヶ月から数年に一度交換するカートリッジの費用がかかります。
ウォーターサーバーや浄水器は設置するだけで、簡単に安全でおいしい水を飲むことができます。ただし、導入にあたって設置費用や工事、ランニングコストが必要になるため、それらを踏まえた上で検討しましょう。
ご自身のライフスタイルに合った方法を見つけよう
水道水に含まれるカルキ自体が身体に悪影響を及ぼすことはないと言われていますが、それでも独特な匂いは気になるもの。また、亜硝酸態窒素などの人体への影響にも気を配りたいところです。大切なご家族やご自身の健康のためにも、毎日使う水の「質」に目を向けてみませんか?
水道水のカルキを抜く方法はいろいろあり、ご自分のライフスタイルに合わせて実践できます。また、より高品質で安全な水を使用したい場合は、浄水器の導入がおすすめです。安全でおいしい水を毎日飲むことができたら、今よりもきっと健やかで快適な毎日を送れるようになるでしょう。